10月の声を聞くと次第にチョウの数も種類も減ってきますが、ヤマトシジミはまだまだ見ることができます。カタバミを食草としていることで人里や路傍、庭などにもカタバミさえ生えていればヤマトシジミは生きていけます。また、一年のうちで何回も世代を繰り返し、幼虫で越冬するのでこの時期でもいろんな生態を観察することができます。
そんなヤマトシジミは絶好の撮影の練習台になってくれます。シジミチョウのような小型種は写真を撮るにも難易度は高いので、このチョウを完璧に思い通り撮れるようになれば格段にレベルアップできると信じています。
これから紹介する写真は9月から10月にかけて撮影したものです。
まずはオスとメスの成虫写真
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ヤマトシジミ オス 翅表は全体に青い |
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ヤマトシジミ メス 翅表は全体に黒っぽいが青い鱗粉が現れることがしばしばある。 |
特にメスは青い鱗粉の入り方が様々なので、よく観察すると面白い。また、翅裏の模様も個体変異が多い種類でもあるので、珍しい模様を見つけることができるかもしれない。
【ピントの話】
次の写真を見てもらおう。レンズはオリンパス60mmマクロで絞りはf8、ほぼ最短距離で撮っている。
上と下の写真を比べてみると、全体写真では違いがよく分からないが、部分拡大するとかなりピントが違うのがわかる。ブログ写真ならこの差はあまり気にならないが、プリントする場合はかなり差が出てしまう。
マクロ撮影では被写界深度が非常に浅いので、シャッターを切るときにちょっと動いただけでこうなっちゃいます。
これを避けるには何枚も撮ること。連写することです。デジカメならダメな写真は捨てればいいのですから。
次に絞りの設定を変えてみる。
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絞り設定とボケの変化 |
使ったレンズはウルトロン40mmf2+中間リング。上からf2開放、f4、f8の順。
f2はピントが甘い。しかもここまでピントを合わせるだけでやっとです。ボケは綺麗なんですけど。
f4はチョウの翅全体にピントがあって、ボケも良い。ただこれも10枚近く撮ってその中の1枚。失敗作の方が多くてピント合わせには神経を使います。
f8はピントは良いがボケはちょっと良くないか。ただ何回写しても大抵満足いくピント。1回のシャッターチャンスしかなければf8が確実。
【生態写真】
ヤマトシジミはカタバミからそう離れた場所まで行かない。カタバミの咲く場所に腰を据えていればいろんな生態を観察できます。
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オスの飛翔 低空飛行でメスを探しています |
オスは低空飛行でメスを探します。
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メスの飛翔 低空飛行で産卵のためカタバミを物色します。 |
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オスは飛んでいる仲間を見つけるととりあえず追っかけます。相手がオスだとすぐやめます。 |
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オスがメスを見つけました |
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運がいいと交尾が成立します。メスは交尾済みだと拒否します。 |
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産卵は大抵葉の裏にします。 |
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中には葉の表側に生むことも(白い点が卵) |
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カタバミの近くの違う葉っぱにも産んでありました。相当慌てて産んだみたい |
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これが卵の拡大写真(前玉外し+中間リングでX2で撮影してトリミング) |
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葉っぱの食べた後のあるカタバミを探すと幼虫がいます |
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これは終齢幼虫でしょう。 |
まだ10月中旬なのでカタバミが枯れるまではこんな写真が撮れそうです。飛翔写真から卵の写真まで、失敗しても撮り直しが効くヤマトシジミでした。